糖尿病はさまざまな合併症を引き起こしますが、その中で循環器系にどのような影響を与えてしまうか、ご説明します。
糖尿病はたんぱくの糖化(タンパク質を構成するアミノ酸と糖(グルコース)が結合を起こす現象)により、細胞の酸化ストレスを増大させます。
糖尿病における高血糖状態は、身体の中の色々な蛋白の糖化を引き起こします。その結果生じた糖化されたたんぱくは、さらに一連の複雑な反応を経て最終産物を産生します。糖尿病の血糖コントロールの程度を表すHbA1cもこの様な糖化されたたんぱくの一種です。血糖値が高い状態が続くとHbA1cは高くなります。
高血糖が長く続く状態では、この様に糖化の最終産物を産生する過程で、悪玉である活性酸素(血管壁を腐らせたり、癌を引き起こしたり等する)ができ、ストレスも増加します。糖化の最終産物は生体内で大切な働きをするたんぱくの機能を障害するだけでなく、その他のさまざまな生理活性物質に悪影響を及ぼし、糖尿病より起こる色々な合併症の進展にも深く関わっています。
■血管内皮障害
糖化最終産物を生成する過程で生じた悪玉の活性酸素は血管の壁を害しますが、この糖化反応は血中の脂質の輸送たんぱくにも起こり、悪玉コレステロールが糖化されたり、糖化最終産物と結合したりします。この様にして変性した悪玉コレステロールは代謝されにくい為血液中に長くとどまり、動脈の内壁に蓄積して掃除役の細胞に取り込まれて泡沫細胞(悪玉コレステロールのかたまりのような状態)と呼ばれる物質になり、動脈硬化を促進します。
■高血圧
厚生労働省の2002年の糖尿病実態調査の速報値によりますと、HbA1cが6.1%以上で糖尿病が「強く疑われる人」は約740万人、HbA1cが5.6~6.1%の予備軍に当たる「可能性が否定できない人」を含めると、成人6.3人に1人に当たる約1620万人にのぼると発表されました。糖尿病の人は血圧が高くなりやすく、40~60%が高血圧を併せ持っており、糖尿病でない人の約2倍の頻度になります。
糖尿病の中でも高インスリン血症(※今後説明します)という状態になると、交感神経(自律神経の1つ)が緊張し、腎臓での塩分の排泄が低下し、その結果幾ら塩分を控えていても高血圧になります。
■動脈硬化
動脈硬化を引き起こす危険因子(糖尿病・高血圧・高脂血症・肥満・喫煙・ストレス)の組み合わせの中で、
①肥満
②糖尿病
③高血圧
④高脂血症
が日本における危険因子として注目され、脳梗塞・虚血性心疾患・閉塞性動脈硬化症などの危険度が特に高いとされています。単独の危険因子では発症率は5~6倍ですが、4つの条件が揃っている時には発症率は約36倍にも高まるという結果が発表されています。

